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| 第三回 |
業種別コンサルテーション 〜卸業編〜 |
| 桑山 義明(株式会社シーガル 代表取締役) |
今回は業種別コンサルティングの実例として卸業の例をご紹介します。
長野県塩尻にある株式会社DのK常務様にお会いしました。
MBAのオンラインコンサルティングの結果を拝見すると顧客/商品ポジショニングは、第II象限の特定顧客に特定の商品を提供する会社で、情報化進捗度は3段階目のネットワーク化が完了している状態の企業です。
売上規模5〜10億、従業員規模10〜49人で拠点は本社のほかに近くに倉庫がある業務卸業の会社です。取扱商品は、店舗装飾用品という年1回しか回転しない商品を扱う、輸入卸です。クリスマス用装飾やお正月用店舗、ディスプレイ装飾などに利用する装飾品です。
海外への発注に始まり、仕入・販売・請求・買掛・売掛処理を、Macintosh と4th Dimensionという組み合わせで運用しています。
今回のコンサルティング希望の趣旨は、継ぎ足し継ぎ足しして利用してきたプログラムがあちこち不具合がでてきているので、全体の基幹業務を見なおすとともにインターネットを利用したWebマーケティングをIT利用でできないかとの要請です。
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ポジショニング: 取扱商品・サービスは、ほとんどが規格品であり、顧客層は、ほぼ固定客のみという結果となりました。 |
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情報化進捗度: 販売仕入管理や財務会計システムなどのアプリケーションがネットワーク上で稼働している状態でした。 |
自社の強みを見据えて戦略をたてる
中央本線塩尻駅を下車、車で20分ほど走った、閑静なところにD社は位置します。建物はまだ新しく一歩社内に入ると、南国を思わせるような装飾品の数々で飾られた部屋があったり、ライオンやロダンの彫刻と思われるものが無造作に並んでいたりとかなり異様な雰囲気です。
しかし、これらがD社の取り扱っているプロ向け装飾品の数々であることがK常務と話し始めたらすぐに理解できました。それよりも小生の『失礼ながら、なぜこのような場所に会社を持ってこられたのですか。』という質問に『日本全国に翌日配送するので、ちょうど日本の真中を狙って戦略的に会社を持ってきた。』それと『装飾品は、空気を運ぶようなものなので土地の安いところに倉庫が必要。』と明快に答えられた常務の顔が印象的でした。
卸業の強みは、なんといっても『商品力』です。そして『物流効率』と『在庫力』さらに在庫を維持するための『資金力』です。これらのポイントを実に的確に理解され戦略を立てているのです。そして店舗装飾品という特殊な業務卸での『ブランド力』を今後もどう確立するかが経営戦略のポイントとなります。
ところで、会社に帰ってからパソコンで日本地図の真中と思われるところにポイントしてズームアップしてみたら、丁度この塩尻のあたりが拡大されたときには、感激してしまいました。
現社長のご子息であるK常務の思いは、基幹系システムの再構築とブランドの確立を、どのようなシステムに落とし込むかが今回のITコンサルティングテーマです。
製品カタログの一部
基幹系業務フローの棚卸
現在進めている業務の内容でD社特有と思われる業務を列挙してみますと、
- 輸入先は、中国、フィリピン、米国、ヨーロッパに、1〜2月頃出張して、新製品や仕入商品見学とサンプル買いつけを行う。
- サンプル品の発注を海外にするため、発注書を始めとする輸入業務は出力帳票を含め、多言語対応の必要がある。
- 銀行別のLC(letter of creditで信用状)の管理など輸入業務に関する処理が必要。
- 仕入れは、海外からが大部分のため社内商品コードを管理し、厳格にする必要がある。また、生産および輸送日数がかかるため、基本的に追加発注はできない。
- 販売管理に関しては、取引先一次卸経由がほとんどのため注文先、納品先、請求先が異なる場合が多い。
- 販売に関しては、大判カタログを年2回取引先一次卸に配布し、その型番によりFAXにて受注。
- 実際の販売は、10〜11月頃が売上ピークとなり請求、回収のピークは12月〜翌年1月頃となる。
- 回収は、登録された得意先のため手形回収も多くある。
- 回収以後の会計処理は、通常のパソコン会計を使用する。
以上のように基本的には、年一回サイクルのビジネスとなっています。カタログ販売に関するいくつかのノウハウは、ここでは割愛させていただきます。
基幹業務はパッケージソフトを利用して
ITのコンサルティングを行う際、筆者はいくつか大切にしているポイントがあります。そのひとつに、『お客様の要求は市販のパッケージソフトで解決すること』があります。
市販されているパッケージソフトを採用する利点としては、
- 価格が特注ソフトに比べはるかに安い。
- 既に多くのユーザーがいるのでバグの検証がされている。
- 開発期間がいらないので、すぐに導入できる。
- ドキュメントやメンテナンス対応がしっかりしている。
- 実験的に実データをいれて試用できる。
- 導入したバージョンが、ある要求を現状解決していなくても、次期バージョンアップで解決することも多い。(メーカーに要求事項を希望しておく)
特に、特別発注して開発してもらうと、開発担当者が辞めてしまったり、開発当時のハードやOSサポートがなくなったりと、システムを発展・維持させていく場合にはそれなりの費用負担も考えておく必要があります。
このような理由で、決定的な要因がない限り導入システムはパッケージソフトを前提にしてITコンサルテーションをしています。
当然経営者の方は、この考え方には賛成してくれるのですが問題は現場担当者の方たちです。
『今までこの処理ができた』、『今まで通りの帳票レイアウトでないと見づらい』等々色々新しいシステムを導入するときには、パッケージでカバーできない要求もでてきます。
それでもその要求が全体業務フローの中で優先度が低い要求であれば無視します。そのためにも会社全体、あるいは今後の電子商取引をにらんだ業務フローの棚卸と優先度チェックが必要なのです。
Web マーケティングでブランド確立
業務フローを分析した結果、以下の6ブロックにわかれたシステムをネットワーク上でデータ共有していくシステムを提案いたしました。
(1)基幹系(仕入在庫・販売回収)システムの構築
(2)発注に関する輸入業務の構築
(3)ピッキングシステムの構築
(4)Web上での在庫問い合わせシステムの構築
(5)Webマーケティングおよび受注システムの構築
(6)コミュニケーション連絡網の構築
ここでは、(5)のWebマーケティングに関して少し説明をしておきましょう。
このD社にとっての真のお客様とは、誰になるのでしょうか。直接注文が入ってお金を払ってくれるところがお客様と思いがちですが、それは取引顧客であって最終のお客様ではありません。例えばパソコンメーカーの場合なども、メーカーからみたら代理店や卸店は取引顧客ではありますがその先に小売店があり、最後にパソコン買って利用してくれる人たちが最終顧客となります。有名なコンピュータのデルモデルなどは、この最終顧客と取引顧客を一緒にした例としていつでもあげられるビジネスモデルですね。
これからの新しいビジネスモデルを考えていく場合に、誰が本当のお客様なのか、取引顧客や最終顧客あるいは関連顧客なのか見極めていくことが大切です。
さて、今回のD社店舗用装飾品に関してはどうでしょうか。
店舗のショウウィンドウを見てブティックで洋服を買うお客様か、その装飾を発注するブティックの店主か、そのディスプレイをデザインするデザイナーか、そのデザインを施工する施工会社か、施工会社が発注する商社かと、いくつかのビジネスプレイヤー(登場人物)が登場します。
この業務卸のD社のK常務は、これからのWebを利用したマーケティングや販売政策を考えていく場合は、このことを充分に整理しポイントをついた戦略を考えていく必要があります。そして、どのビジネスプレイヤーに自社の『ブランド』を強烈にアピールすればいいのかを決定し、Web戦略としていくのです。
正解は一つではありません。その業種、業態あるいは地域、顧客層そして商品・サービスの性格などで様々な正解が考えられます。今の経営者は、正にその正解を見つけるために色々智恵を絞ってチャレンジしているのです。
今回は、卸業という業種でのコンサルティング実例をご紹介いたしました。
次回は、高崎を中心にして群馬県下に16校ある学習塾UのS社長のコンサルティングをご紹介します。
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