オープンコンサルティングプロジェクト
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トップの IT への取り組み姿勢が成功への鍵
第二回 業種別コンサルテーション 〜製造業編〜
桑山 義明(株式会社シーガル 代表取締役)


今回は業種別コンサルティングの実例として製造業の例をご紹介します。
 名古屋にあるN部品株式会社様にお邪魔しました。
 MBAのオンラインコンサルティングの結果を拝見すると顧客/商品ポジショニングは、第U象限の特定顧客に特定の商品を提供する会社で、情報化進捗度は3段階目のネットワーク化が完了している状態の企業です。
 売上規模10〜50億、従業員規模50〜99 人で拠点は本社のほかに工場と研究所がある開発型製造業です。情報化も進んでおり、財務関係、生産管理、受発注管理、在庫管理などは既に稼動中と現在基幹系を構築中のシステムもありました。今回のコンサルティング希望の趣旨は、営業部門の強化にITが利用できないかとの要請です。


ポジショニング:第II象限
取扱商品・サービスは、規格品と特注品の割合がほぼ半々ながらわずかに規格品が多く、顧客は、固定客と不特定客の割合がほぼ半々ながらわずかに固定客が多い結果となりました。
情報化進捗度:第3フェーズ
販売仕入管理や財務会計システムなどのアプリケーションがネットワーク上で稼働している状態でした。


まず社長の思いありき
 多くの中小・中堅企業の場合、その企業にとっての最高の営業マンは「社長」であることが多いのです。なぜか社長がお客様を訪問すると注文がとれる。あるいは今まで見えなかったお客様の問題点がお客様の方から話し出してきて明確になってくるなど、同行した営業マンの方はびっくりした経験があるのではないでしょうか。
 多くの社長は、営業マンというより「お客様のよき相談相手」だから訪問すると色々な話が出てくるのです。また、当然その延長線上に注文もあるのです。そんな社長にとって、自社の多くの営業マンが自分の一部として動いてくれれば提案も、見積もりも、注文も、もっと取れるのではないかと思っています。今回訪問したN部品様のA社長もまさにそんな思いでITをうまく活用できないかと相談されてきました。
 この社長の思いをどのようなシステムに落とし込むかが、今回のITコンサルティングテーマです。


お客様との成功シナリオをつくりだす
 A社長とのディスカッションの中心は、一営業マンがお客様のところに訪問してから「よき相談相手」となりディスカッションし、提案を提出し、試作提出、見積書提出そして受注になるまでの成功シナリオです。
 そして受注して納品するだけでなく、自社が納品した部品を利用して出来上がった最終顧客の商品がさらにその先のお客様に喜ばれているのか、結果として売上が向上するのかと、全体のシナリオを確認することが大切な議論となります。
これは、まさにマーケティング的な考え方で、単に自社の受注がとれて売上があがればそれでよしとする姿勢ではなく、取引顧客からさらに最終顧客までどのように自社の商品なりサービスが届けられていくのか、利用されて喜ばれるのかを評価して今のマーケティング、営業活動を見なおすことです。
 その中から、営業マンが成功したと言えるシナリオが確定してきます。
 この考え方は、製造業だから流通業だからという業種に関係のない考え方となると同時に、自社のビジネスモデルを考えていく場合の重要な要素となってきます。


社長はエクスプローラ(探検家)だ
 特定顧客に商品やサービスを提供している企業の場合、そのお客様の考えていること、困っていること、やりたがっていること、人事情報や売上情報などなど、どんな細かなことでも情報として知りたいし、何か提案に結び付けられれば提案していきたいものです。そして、それらの情報に接する機会が多いのが担当営業マンであり、電話受付であり、訪問サービスマン、配達物流担当などの人たちです。
 よくあるケースが、大事なお客様から社長宛てに電話が入っても不在の場合は、「社長がいないのなら、いいよ。特に用事がないから。」などと言ってお客様に電話を切られると受付担当は、用事がないなら社長に連絡しておく必要もない。と判断し電話メモは社長に渡されずに終わります。本当は、用事もないのに電話をかけてくることはないのですが・・・。
 『中小企業の社長は、エクスプローラ』なのです。風向きが変わったり、雲が出たり、カエルが鳴いたりと、ちょっとした市場やお客様の変化から自社の行く先や商品開発を考えているのです。だから社長は市場というフィールドを探検しているエクスプローラ(探検家)なのです。お客様のちょっとした変化(クレームや要望など)への対応でビジネスが大きくなったり、小さくなったり、あるいはなくなったりすることを、トップは一番わかっているのです。
 ビル・ゲイツが『デジタルナーバス(神経系)システム』と提唱したように、指に刺さった小さなトゲの痛さがすぐに脳まで伝わる企業情報システムが求められているのです。実は、このことは企業の大小には関係ありません。
 もっとも、デジタルナーバスシステムを導入したから解決するものではなく、担当者教育や習慣そしてなによりお客様との交信(接触)記録ともいえるデータの蓄積が重要となります。


システムをいかに運用するかが最後の決め手
 N部品株式会社のA社長の思いは、このようなシステムを求めていました。
 営業マンの成功シナリオはディスカッションの末、お客様への提案の数、試作件数そして見積件数の数量の多さを評価基準とするシステム提案となりました。
 グループウェアソフトを利用して、お客様情報が色々なセクション(営業、開発、クレームや受付)から蓄積されること、そして社長からそれに対して、いつでもコメントをつけられる社内外とのコミュニケーション網の仕組みを提案しました。特にお客様別に担当者が決まっているので、どんな話題を提供してお客様のニーズを引き出すかなどの仕組みも提案しました。
 しかし、どんなよいシステムを導入しても、担当者が喜んで使ってくれて成果があがってこないと意味がありません。システムは予算をかければすぐに出来上がりますが、社員教育は動機付けと手間と時間がかかる重要で、地味な仕事です。営業マンのヒアリング教育や報告書作成教育あるいはパソコン操作教育などうまく運用するために必要な教育や仕組みこそがIT化成功への最後の決め手となります。今回は、製造業という業種でのコンサルティング実例をご説明いたしました。
 次回は、長野の塩尻にある卸業 株式会社D様のコンサルティングをご紹介します。


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最終更新日:2003年11月19日 11:32:42